
組織課題 / 経営課題
人手不足倒産、過去最多441件|データで見る「辞めていく」職場の実態
「求人を出しても人が集まらない。」
「採用しても、すぐ辞めてしまう。」
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。実際、人手不足を理由とする倒産は過去最多となり、職場のメンタルヘルス不調も増え続けています。
本記事では、立教大学教授による労働経済分析を参考に、公的データをもとに人手不足の実態と背景を整理するとともに、公認心理師の視点から「離職を防ぐ職場づくり」のポイントをご紹介します。
この記事の内容
- 人手不足の実態をデータで見る
- 人手不足が起きる3つの要因
- 人手不足と倒産・メンタルヘルスの関係
- 企業に求められる対応
- プラスワンライフの支援
- よくある質問
1. 人手不足の実態を数字で見る
人手不足の度合いを示す代表的な指標が「有効求人倍率」です。仕事を探す人1人に対して、企業が何件の求人を出しているかを表し、1を上回ると人が足りない状態を意味します。
2024年の有効求人倍率は1.25倍でした。コロナ禍を除けば、高水準が続いています。
「1.0」を上回るほど人手不足が深刻。コロナ禍を除き高水準が続いている
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和8年4月分)
実際に「生産を増やせない」「仕事の依頼に応えきれない」という声も聞かれ、人手不足は日本経済の成長にも直結する課題になっています。
2. 人手不足が起きている3つの要因
① 労働供給量そのものの縮小
日本の人口は2000年代半ばをピークに減少していますが、就業者数自体はこの20年ほど横ばいです。女性や高齢者の労働参加が進み、人口減少分を補ってきたためです。それでも人手不足が深刻化している理由は、一人当たりの労働時間が短くなっているからです。短時間勤務を希望する人の比率が高まったことに加え、「働き方改革」による労働時間短縮も影響しています。
就業者数は増えているのに、労働時間の減少が上回り、全体の労働投入量は縮小している
出典:立教大学教授の分析(総務省統計局「労働力調査」等をもとにした試算)
働く人は増えているのに、働く時間が減っているため、労働供給は全体として縮小しています。
② 需要と供給のミスマッチ(業界構造のゆがみ)
人手不足は日本全体に広がっているように見えますが、職業別に有効求人倍率をみると大きな差があります。看護師、自動車運転従事者、介護サービス職、保安職などでは倍率が高く深刻な人手不足である一方、一般事務従事者では1を下回り、むしろ人が余っている状況です。本来なら、人手不足の職種で賃金が上がり労働者が移動するはずですが、現実にはこの調整がうまく働いていません。
その典型例がトラック運送業です。自動車運転者の有効求人倍率は平均の2〜3倍という高さが続いていますが、基礎的な賃金である所定内給与の伸びは鈍いままです。
有効求人倍率が2〜3倍と高いにもかかわらず、ドライバーの賃金の伸びは全労働者平均を下回る
出典:立教大学教授の分析
背景には、1990年の規制緩和以降に事業者数が1.5倍に増えた過当競争構造や、多層下請け構造があり、中小企業庁の調査ではトラック運送業は最も価格転嫁が進んでいない業界とされています。運賃が上がらず賃上げの原資を確保できないため、求人倍率の数値ほど実際の総需要に対する供給不足は深刻ではない可能性も指摘されています。
③ 労働移動や景気変動による短期的な不足
転職には時間がかかり情報も不完全なため、求人と求職はすぐには一致しません。ただし、現在の日本では景気が悪化してもすぐに求人が回復し、有効求人倍率が高止まりしていることから、現在の人手不足の主因は①の労働供給量の減少と②の構造的なゆがみにあると考えられます。
3. 人手不足は「倒産」と「メンタルヘルス」にも影響する
人手不足は単なる採用の難しさにとどまらず、企業経営そのもの、そして働く人の心の健康にまで影響を及ぼし始めています。
「人手不足倒産」が過去最多を更新
帝国データバンクの調査によると、従業員の離職や採用難などを原因とする「人手不足倒産」は、2025年度に441件発生し、前年度(350件)から約1.3倍に増加、3年連続で過去最多を更新しました。
特に注目すべきは、従業員や経営幹部の退職が引き金となった「従業員退職型」倒産が118件と、年度ベースで初めて100件を超え、4年連続で増加している点です。採用できないだけでなく、「今いる人が辞めてしまう」ことが、企業の存続を左右する時代になっているのです。
出典:株式会社帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日発表)
職場のメンタルヘルス不調も過去最多
仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害に関する労災請求件数・支給決定件数も、いずれも右肩上がりで増加しています。
支給決定事案の原因では「上司等からのパワーハラスメント」が最多で、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化」「顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)」が続きます。人手不足の職場では一人あたりの業務負荷が増しやすく、こうした心理的負荷がさらに高まりやすい構造があります。
こうした背景を受け、2025年5月の法改正により、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場のストレスチェックも、全ての企業で義務化されることになりました。企業規模にかかわらず、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ体制づくりが求められています。
出典:厚生労働省「令和6年度 過労死等の労災補償状況」(2025年6月25日公表)/労働安全衛生法の一部改正について
人が不足すると残業や業務量が増えやすく、十分な休息が取れない状態が続きます。その結果、ストレスが蓄積し、休職や離職につながるリスクが高まります。
つまり、「採用できない」ことと「辞めていく」こと、そして「心の健康を損なう」ことは、それぞれ独立した問題ではなく、一つの悪循環としてつながっています。人手不足の職場ほど一人あたりの負荷が増し、心身の不調や離職を招き、さらなる人手不足を生む——この連鎖を断ち切ることが、これからの企業経営の重要な課題です。
4. 対応の方向性 ―― 働き方と業界構造の見直し
労働供給量の減少への対応としては、短時間で働く人が希望に応じて労働時間を延ばせる、柔軟な環境づくりが不可欠です。日本は海外と比べて特に女性の短時間労働者の割合が高く、「もっと働きたい」と考える人も少なくありません。一方で、すでに長時間働いている人にさらに働いてもらう方法は、健康リスクの増大やワークライフバランスの悪化を招き、女性の就労機会を狭め、少子化対策の面でも課題を生みます。
また、デジタル化や業務改善などによる生産性向上も重要ですが、医療・福祉など人手に依存せざるを得ない分野も多く、生産性向上だけで人手不足を補うには限界があります。
業界構造のゆがみへの対応としては、中小企業が適正な価格で取引できる環境整備や、M&Aや事業統合による適正な事業規模の実現が挙げられます。労働条件の改善と人手確保を両立させるためには、業界全体の健全化が欠かせません。
5. プラスワンライフができること ―― 「人を大切にする経営」への支援
人手不足時代には、「採用すること」と同じくらい、「今いる人が安心して働き続けられる環境づくり」が重要になります。
プラスワンライフでは、そのような企業様をサポートするため、公認心理師の専門性を生かしたEAP(従業員支援プログラム)をご提供しています。
| サービス | 内容 | こんな課題に |
|---|---|---|
| ストレスチェック | 法定義務(2025年5月改正で全企業対象)への対応と、集団分析による職場環境の可視化 | 不調の芽を早期に発見したい |
| 外部相談窓口 | 社内の人事・上司に相談しにくい悩みを、社外の専門家が匿名で受け止める | ハラスメントや人間関係の悩みを抱え込ませたくない |
| 個別カウンセリング | EMDR・CBT・マインドフルネスなど専門技法による個別支援 | 休職者・復職者のケアをしたい |
EAP導入がもたらす効果
- 従業員が「自分は大切にされている」と感じられる職場文化の醸成
- 不調のサインを早期にキャッチし、休職・離職につながる前に対応
- ストレスチェックの集団分析結果を、職場環境改善のヒントとして活用
- 採用にかかるコストや時間を、既存社員の定着によって抑制
人手不足への対応は、「採用」だけでは解決できない時代になっています。従業員が安心して働き続けられる職場づくりについてお考えでしたら、お気軽にプラスワンライフまでご相談ください。企業の状況に合わせたご提案をいたします。
よくある質問(FAQ)
2025年5月の法改正で、ストレスチェックの義務化対象はどう変わったのですか?
これまでは従業員50人未満の事業場ではストレスチェックの実施は努力義務でしたが、2025年5月の法改正により、企業規模にかかわらず全ての事業場で実施が義務化されることになりました。小規模事業者様も対象になりますので、未対応の場合は早めの準備をおすすめします。
「人手不足倒産」とは、具体的にどのような倒産を指しますか?
従業員の離職や採用難、それに伴う人件費の高騰などが原因で事業継続が困難になった倒産のことです。帝国データバンクの調査では、なかでも従業員や経営幹部の退職がきっかけとなる「従業員退職型」が2025年度に118件と過去最多を記録しており、採用の難しさだけでなく、既存従業員の定着が経営に直結する課題であることを示しています。
外部相談窓口は、匿名で利用できますか?
はい。プラスワンライフの外部相談窓口は、社内の人事や上司を介さず、公認心理師などの専門家に直接ご相談いただける仕組みです。相談内容が会社側に個人が特定される形で伝わることはなく、安心してご利用いただけます。
どのくらいの規模の企業から導入できますか?
企業規模を問わずご相談いただけます。従量課金プランのほか、スタンダード・プレミアムといった料金プランをご用意しており、貴社の従業員数や導入目的に応じて最適な形をご提案します。まずは無料でお気軽にご相談ください。
導入までどのくらいの期間がかかりますか?
お問い合わせいただいてから、貴社の状況をヒアリングし、業務委託契約の締結、料金体系のご案内を経て導入となります。具体的なスケジュールは企業様ごとの状況により異なりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
従業員のメンタルヘルス、まずはお気軽にご相談ください
ストレスチェック・外部相談窓口・カウンセリングなど、貴社に合わせたEAPをご提案します
biz@plus-one-life.com
080-9851-3324
出典・参考資料
- 立教大学教授による労働経済分析記事(人手不足の実態・要因・対応の方向性に関する論考)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年4月分)」
- 厚生労働省「令和6年度 過労死等の労災補償状況」(2025年6月25日公表)
- 厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(2025年5月改正)
- 株式会社帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日発表)
- 中小企業庁「価格転嫁に関する実態調査」