組織が50名規模に成長するというのは、企業にとって一つの節目と言えるでしょう。実は、この「従業員50名」というラインは、単なる人数の話ではありません。法律上の対応義務が増えるだけでなく、職場の人間関係、マネジメント、そして組織文化にも変化が生じてくるタイミングです。
私たちは多くの企業のメンタルヘルス支援に携わる中で、「50名規模の組織でどんな取り組みが求められるのか」というご相談を受けてきました。本記事では、従業員50名を迎える企業が持つべき「成長できる組織づくりの5つの視点」を、心理的安全性と働きがいを軸にご紹介します。
1. ストレスチェックは「義務」から「資産」へ
労働安全衛生法により、従業員が50名を超えると「ストレスチェック」が義務化されます。これはコンプライアンス対応として実施する企業が多いですが、「組織の健康度」を把握するための大きな資産にもなり得ます。
ストレスチェックの結果は、単なるリスクの可視化にとどまりません。職場の人間関係や業務負荷、働きやすさなど、従業員の「声なき声」を拾うための貴重なデータとなります。これを人事施策や管理職育成に活かすことで、組織の質を高めていくことができます。
📌 プラスワンライフでは、結果の活用支援まで含めたストレスチェックサービスをご提供しています。
2. 「心理的安全性」を高める風土づくり
Googleのプロジェクトアリストテレスでも明らかになったように、「成果の出るチーム」には共通点があります。それが心理的安全性です。
Googleの「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」は、
「効果的なチームとは何か?」を明らかにするために、Googleが2012年から数年かけて行った社内調査プロジェクトです。
■ 高パフォーマンスチームに共通する5つの要素
Googleは、成果の出るチームには次の5つの特性があると結論づけました。
- 心理的安全性(Psychological Safety)
→ チーム内で安心して意見を言える。間違っても非難されない。 - 相互信頼(Dependability)
→ メンバー同士が責任を果たし、仕事をきちんとやる信頼感がある。 - 構造と明瞭さ(Structure & Clarity)
→ 各メンバーが自分の役割と目標を理解している。 - 仕事の意味(Meaning)
→ 仕事が個人にとって意義のあるものである。 - 仕事のインパクト(Impact)
→ 自分の仕事がチームや社会に良い影響を与えていると実感できる。
上記5つの中でも、最も重要だとされたのが「心理的安全性」です。
■ 日本企業や中小企業への示唆
このプロジェクトは大企業Googleの研究ですが、日本の企業文化にも大きな示唆を与えています。
- 上司が一方的に指示を出すだけの環境
- 意見を言いにくい職場風土
- 失敗に寛容でない組織
これらの状態は、心理的安全性を欠き、組織の成長や人材育成の妨げになることが、エビデンスで裏付けられています。
■ プラスワンライフとしての支援
一般社団法人プラスワンライフでは、この「心理的安全性」を組織内に育てるための
- 管理職カスタマイズ研修
- 社内コミュニケーションワークショップ
- 職場環境改善コンサルティング
などのプログラムをご提供しています。
🔑 管理職研修や組織診断を通じて、心理的安全性の育成支援が可能です
3. 「育成から共育へ」:次世代リーダーの育て方
50名を超えると、組織は「トップの目が届きにくくなる」段階に入ります。そこでカギを握るのが、現場を支える管理職・リーダー層の育成です。
従来の指示・命令型のリーダーシップから、対話と支援を重視する共育型リーダーシップへの移行が求められます。現場の声を拾い、共に考え、共に成長していく姿勢こそ、持続可能な組織づくりの土台になります。
■ 共育型リーダーの3つの特徴
- 対話を大切にする
→ 一方的に教えるのではなく、「あなたはどう思う?」「どんなことを感じている?」と問いかけ、部下の内側にある力を引き出します。心理的安全性を高める土壌になります。 - 失敗を責めず、経験として扱う
→ 失敗を糾弾するのではなく、「何が起きたのか、何を学べたか」を一緒に振り返ります。これにより、部下は安心して挑戦できるようになります。 - リーダーも自分の弱さを見せる
→ 共育型リーダーは、あえて自分の迷いや課題を共有します。これにより部下との間に「人間対人間」の信頼関係が築かれ、相談しやすい関係性が育ちます。
■ なぜ今、共育型が必要なのか?
現在、多くの組織で起きている課題には共通点があります。
- 若手が育たない
- 上司と部下の距離がある
- 人が定着しない
その背景には、「評価される」「管理される」ことへの過度なストレスがあり、「安心して話せない」「間違えられない」職場風土が存在しています。
共育型リーダーシップは、こうした硬直化した組織に柔らかさと余白を取り戻し、“人が辞めない・人が育つ”職場づくりにつながっていきます。
📘 「教える」から「共に育つ」へ
4. メンタル不調者「ゼロ」を目指すより、「対応できる組織」へ
メンタル不調は、個人の問題ではなく、環境の影響を強く受けるものです。企業が目指すべきは、「不調者を出さない組織」ではなく、「不調の兆しに気づき、適切に対応できる組織」です。
50名規模になると、業務量や人間関係の不一致、配置のミスマッチが起こりやすくなります。産業医との連携に加え、社内外に相談できる環境の整備や、メンタルヘルス教育の導入が重要になってきます。
「人事×衛生×経営」の三位一体のチーム戦略
「人事・衛生管理者・経営者」が連携する重要性です。ストレスチェックの対応や休職者対応を衛生管理者に任せきりにするのではなく、人事戦略の一部としてメンタルヘルスを組み込む視点が求められます。
定期的な情報共有、目標のすり合わせ、実効性のある制度設計が、「人が定着し、育ち、成果を生む組織づくり」へとつながっていきます。
今こそ、次のステージへの準備を
従業員50名を迎える企業にとって、今はまさに「仕組みと文化をつくるタイミング」です。
- ストレスチェックを単なる義務で終わらせない
- 心理的安全性を高める組織風土を育てる
- 共育型のリーダーを育成する
- 不調を未然に防ぐ「気づき」の力を養う
- 人事・衛生・経営の連携体制を築く
この5つの視点を意識することで、御社の組織は人が辞めない・育つ・強くなるという好循環へと進化します。
🔎 ご相談・お問い合わせ
プラスワンライフでは、企業規模や業種に合わせたストレスチェック導入支援や管理職研修プログラムをご用意しています。ご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
一般社団法人プラスワンライフ
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